こんにちは、院長の向井です。
荻窪駅周辺も、平日の夕方や土曜日になると、お仕事帰りやお買い物の方で賑わいを見せていますね。皆さん活動的に過ごされている一方で、忙しさのあまり、ご自身の「お口のメンテナンス」はつい後回しになってはいないでしょうか。
「そういえば、歯医者の定期検診ってどれくらいの頻度で行けばいいんだろう?」
ふとそんな疑問が頭をよぎっても、ついそのままにしてしまう方も多いかもしれません。
実は、その「通う間隔」の決め方にこそ、予防歯科の大切なポイントが隠されています。今回は、定期検診の理想的な頻度と、当院が大切にしている「予防」の考え方についてお話しします。
そもそも「定期検診」の目的とは?
多くの方は歯医者を、腫れたらや痛くなったら「歯を治す場所」だと思われているかもしれません。
ですが、本来の理想は「歯を治さなくて済むように維持する場所」です。
定期検診では、主に以下のチェックを行います。
- 新しい虫歯ができていないか(初期の変化も含めて確認)
- 歯ぐきの腫れ・出血(歯周病のサイン)がないか
- 日頃のブラッシングで落としきれない汚れの除去(プロの清掃)
これらを定期的に行うことで、もし問題が見つかっても小さい処置で済む可能性が上がります。
理想の間隔は「一律」ではなく、リスクで決まります
結論から言うと、「みんなが○ヶ月に1回」という基準ではありません。
国内外のガイドラインや研究でも、来院間隔はお口の状態(リスク)に応じて調整するという考え方が基本です。
たとえば英国のNICEでは、成人の定期チェックは最短3ヶ月〜最長24ヶ月の範囲で、個人の状態に合わせて決めることが示されています。
また、成人を対象に英国で行われた、大規模な臨床試験(RCT)では、条件を満たす低リスクの人において、6か月・24か月・リスクに応じた間隔で大きな差が出ないという結果も報告されています。
それでも「3ヶ月」がよく出てくる理由(根拠の置き方)
「じゃあ3ヶ月って言われるのは、何で?」という話ですよね。
ここは誤解が出やすいので、根拠の“組み立て”を丁寧にします。
1. 汚れは、思ったより早く“元に戻る”
歯の表面には、磨いてもまた膜(ペリクル)ができ、プラーク(歯垢)は24時間で再形成します。
さらにプラークは、条件がそろうと24〜72時間で石灰化(=歯石化)が始まり得るとされています。
つまり、放っておくと「気づかないうちに積み上がる」のが、お口の汚れです。
2. 歯周病のメインテナンスでは「1〜3ヶ月」がよく登場する
歯周病は再発しやすく、状態が落ちると進行も早いことがあります。
日本歯周病学会のガイドライン(英語版)では、歯周病のフォロー(抑制療法/SPT)で「1〜3か月のリコールが一般的に推奨される」と明記されています。
なので、
「歯周病リスクが高い人ほど短め(1〜3か月)」
という考え方は、エビデンスとも整合します。
目安としての来院間隔
以下は“ざっくりの目安”です。
実際は、検診でリスク評価(虫歯・歯周病の状態、清掃性、生活習慣など)を見たうえで決めていきます。
- 1〜3か月に1回:歯周病の治療歴がある/歯ぐきの出血が多い/歯石がつきやすい/虫歯が繰り返しできやすい
- 3〜6か月に1回:リスクは中等度(磨き残しが出やすい、矯正中、詰め物が多いなど)
- 6〜12か月に1回(場合により最大24か月):状態が安定していてリスクが低い
ここでのポイントは、「短くする=正解」ではなく、「自分にあった間隔」が正解ということです。
定期検診に通うメリット
将来的に歯を残せる可能性が上がる
日本では「80歳で20本」を目指す8020運動も広く知られています。
定期的なチェックとプロケアは、歯を失う二大原因(虫歯・歯周病)を早い段階で拾いやすくします。
大きな治療になりにくい(結果として時間と負担が減りやすい)
海外データ中心ではありますが、予防的な受診が、その後の非予防処置や支出の増加を抑える方向で関連するという報告があります(保険制度が違うため、傾向として参考にするのが安全です)。
口の中がスッキリして気持ちいい!
これは体感として分かりやすいメリットです。
加えて、プロの清掃はセルフケアだけでは難しい部位の汚れを落とす意味があります。
よくある質問
Q1. 定期検診って、具体的に何をするんですか?
「検診」と聞くと、ただ“見て終わり”のイメージがあるかもしれません。
実際は、ざっくり言うとこのセットです。
- チェック(むし歯・詰め物・噛み合わせ)
- 歯ぐきのチェック(出血・腫れ・歯周ポケットなど)
- クリーニング(歯石・着色・バイオフィルムの除去)
- セルフケアの調整(磨き方・道具・頻度のアップデート)
- 次回の間隔の提案(リスク評価にもとづく)
「歯を守るための点検+メンテナンス+作戦会議」と思ってもらうと近いです。
Q2. 痛いですか?しみたりしますか?
結論、痛みの感じ方は人それぞれです。ただ、痛くなるケースには“パターン”があります。
- 歯ぐきに炎症がある(腫れ・出血がある)
- 歯石が多い/歯ぐきの中に歯石がある
- 知覚過敏が強い
- 前回から間が空いて汚れが固まっている
逆に言うと、痛みを減らすコツは「間を空けすぎないこと」。
あとは大事なことを1つ。
遠慮せずに、最初に言ってください。
「痛いのが苦手です」「しみやすいです」
この一言があるだけで、やり方の選択肢が増えます。
Q3. 予約する前に、何を準備したらいいですか?
ほとんど準備はいりません。ただ、これがあるとスムーズです。
- 気になっている症状メモ(例:右下がしみる、朝だけ口がネバつく等)
- 服用中の薬が分かる情報(お薬手帳など)
- 直近で治療した歯科があれば、いつ頃か(覚えている範囲で)
「うまく説明できない…」でも大丈夫です。
症状ってだいたい、本人が一番説明しづらいんですよね。
最後に
「最後に歯医者に行ったのはいつだっけ?」という方も、どうぞ安心してお越しください。
私たちは、どんな小さな疑問でも相談しやすい雰囲気を大切にしています。
「特に痛いところはないけれど、一度チェックしてほしい」
そんなご相談が、実は私たちにとって一番嬉しいお声がけだったりします。
お口の健康を守るパートナーとして、末長くお手伝いできれば幸いです。
ぜひ、お気軽にご相談ください。
参考文献・出典元
- 英国国立医療技術評価機構 (NICE):Dental recall: Dental health check intervals for patients (CG19)
- NIHR HTA / PMC:INTERVAL trial: Risk-based vs fixed dental recall intervals
- Cochrane Library:Routine dental scale and polish for periodontal health in adults
- MSDマニュアル プロフェッショナル版:歯周疾患 – 歯因性疾患
- 日本歯周病学会:Periodontal Practice Guideline 2022 (English version)